事業再生のスペシャリストとして
総合医のようにビジネスを診断する。
「今月末にお金が払えない」という話から始まることがよくあるのが、事業再生の案件です。期日までに、銀行さん向けにはこう、従業員向けにはこう、取引先にはこう…と、関係者に向けた様々な対応方法を考えるのを猛スピードでやらないといけない。2、3週間で行うこともあり、初期対応を間違えたら取り返しがつかなくなります。
経営陣とファミリー、従業員などの様々な感情が絡み合う中、全員が win-win の形にならないと説得できないので、利害と感情を短期間で地ならしします。泥臭い仕事です。とても大変ですが、ダイナミック。難所を乗り越えることが面白いので、しんどいとか辞めたいと思ったことは一度もありません。この分野をずっとやり続けたいと思っています。
弁護士になって3年後、産業再生機構に入りました。クライアントと法だけを見る法律事務所とは違って、産業再生機構は会計・税務・M&Aなど様々な要素が関わって「事業を再生する真ん中の存在」です。私はコントロールタワーのような立場で各分野の専門家に仕事を依頼し、あらゆるところに目配りしながら働きました。大型の案件も担当し、仕事に没頭しました。その後、事業再生で有名な故・中島建仁先生の豪快な手腕に惚れて北浜法律事務所に入り、さらにキャリアを積みました。
全員がハッピーになれる方法を探す。
現在では、事業再生案件の全部を診る「総合医」として、事業の再生、再構築、成長・発展にかかる戦略的取組み全般のアドバイザリーを行なっています。自分がアドバイスした結果、「本当に先生のおかげです」「あそこでああ言ってくれなかったら、きっとこんなことになっていました」などと感謝された時の嬉しいこと。自分の存在意義があると感じますね。弁護士冥利につきます。
常に心がけていることは、ステークホルダーの全員がハッピーになれる方法を探すことです。会社、株主、従業員、取引先…それぞれに立場があり、本音や嘘もあります。そのような中で、みんなが満足するかたちを考えることは難しいけど着地させなければならない。そのためには人間を知ることです。日常的には子どもと接して気づきを得ることも多いですね。子どもって全く言うとおりにならないし、言うことを聞かない、何回言ってもわからない。でも、大人になっても人間はそう変わらないものかもしれない。日々子どもと接して学んでいます。
どんな時でも明るく楽しく。
私のモットーは、「どんな時でも明るく楽しく」です。事業再生は明るい性格の人でないとできないと思いますね。チームのみんながついてこないから。私は、同じ価値観で楽しくやれる仲間を増やしたいと思っています。お互いに切磋琢磨して能力・経験を磨き、それをアドバイスとしてクライアントに提供して喜んでもらえるようにしたいですね。またその喜びを仲間と分かち合えたら最高です。
クライアントとともに。