Cross-Border Talks
Title
“ 事業再生の北浜 ”として受け継がれるDNA。豊富な経験と実績により、経営危機を解決へと導く。
企業が窮地に陥った時、選択できる制度は多数ある。これまで数多くの事業再生案件に関与してきた北浜法律事務所には、事業再生の「DNA」が流れている。事業再生を通じて、企業の価値を、従業員や取引先その他のステークホルダーの利益をどう守るのか。弁護士が担うその役割とは。事業再生の第一線で活躍する弁護士たちが、現代における事業再生の実態について語り合った。
倒産・破産・事業再生の概念と
「再生の土壌」
吉田 「倒産・破産・事業再生」これらは並列の概念ではありません。倒産法の定める倒産処理手続を法的整理といい、法的整理は「倒産」に含まれますが、法的整理には破産のように清算を目的とするものと、民事再生・会社更生のように再建を目的とするものがあり、後者が事業再生の手続です。また、法的整理と対比されるものとして、債権者との合意による処理を行う私的整理があります。再建を目的として行う私的整理も事業再生の手続に位置付けられます。リーマンショック後ぐらいからは、法的整理よりも私的整理による事業再生の方が主流だと思います。
藤原 法的整理では、仕入先に対する買掛金なども、金融機関に対する借入金と同様に、カットの対象になってしまいます。買掛金がカットされるのであれば、今後仕入れさせてもらえなくなってしまうでしょう。こういった事業価値の毀損を回避するべく、金融機関にのみ債権のカットをお願いするのが私的整理です。私的整理の場合、「倒産」にはならず、その旨の報道がされないことも事業価値の毀損の回避にとってメリットがあります。私的整理による事業再生は、2001年に策定された私的整理ガイドラインが元になっていますが、吉田先生がおられた産業再生機構が、大企業を対象として私的整理を行ったことで、具体的なプラクティスが整備されたのですよね。
太田 吉田先生は、産業再生機構で私的整理をされていたのですね。北浜法律事務所は、「事業再生・倒産」分野で長い歴史があると認識しています。
吉田 そのとおりです。法的整理によるものも、私的整理によるものも、重要なのは、事業・ビジネスを再構築して、収益を、お金を生み出す体制とすることが大事です。私は、かつて産業再生機構にいたときに、北浜法律事務所の中島健仁先生にアドバイザリーをお願いしたことがありますが、中島先生は、事業再生に最も重要な部分を理解した上で、豊富な経験に基づくアドバイスをしてくれました。私はその後、北浜法律事務所に入所することになるのですが、入所後、ファウンダーである佐伯先生が「倒産は弁護士のやる仕事ではない」と言われていた時代から、会社更生などの事業再生案件を手掛けてきたからこそ、北浜法律事務所には「再生の土壌」が備わっているということを実感しました。
私的整理において弁護士が担うのは
「事業の背骨」の診断
藤原 私たちの強みは法的整理・私的整理にかかわらず、事業再生の場面で発揮されると思います。北浜法律事務所は様々な専門性を持つ弁護士たちが連携して対応する文化があり、専門性をうまく組み合わせたチームを組成します。
吉田 事業再生の案件は、あらゆる分野の知識や経験が必要です。まず、事業・ビジネスについて知見がなければいけません。先ほども申し上げたように、まず事業・ビジネスを再構築して、収益を、お金を生み出すことができるかという、言わば「事業の背骨」にかかる診断が最初に求められます。この分析には数字の分析が不可欠ですので、会計や税務の知見も必要です。
事業の再構築にあたって、中核となる事業以外のノンコア事業やノンコア資産、不採算商品からの撤退、人員の削減などが必要となってくるので、資産処分、各種取引にかかる契約や、労働法制の知見なども欠かせません。
また、対象企業に既にある経営資源だけでは再建が難しい場合には、いわゆるスポンサーの経営資源を利用して再建できるかということになります。スポンサーに買収してもらうことは、正にM&A分野ですから、M&Aの知見が必須となります。
さらに、再建のために新たに資金が必要であるとして、各種ファイナンスを受けることも多く、そうなると各種ファイナンスの知見が必要となってきます。
北浜法律事務所にはこれらの専門性を持つ弁護士が所属していることから、事業再生の場面では、それらの弁護士と連携して対応します。
藤原 特に最近は、スポンサーの経営資源を利用して再建する、スポンサー型が多いですね。スポンサーから支払われる買収対価を原資として、金融機関に返済が行われるので、買収対価の額はもちろん大事ですが、その他の面も含めて、金融機関にとって有利であると納得させるだけの説得力あるストーリーを描けるか。そこも、私たちの腕の見せ所ですね。
太田 私は2年ほど前、中小企業活性化協議会に出向していました。中小企業活性化協議会は中小企業の活性化を支援する公的機関で、各都道府県に設置されています。私的整理では、「債務者企業と債権者金融機関以外の第三者がチェックして金融機関の理解を得る」というのが、先ほども話のあった産業再生機構による私的整理手続以降、ほぼ必須のプロセスになっています。中小企業活性化協議会は、このチェックを担っています。
太田 私は現在、債務者企業側のアドバイザーとして、中小企業活性化協議会のチェックを受ける私的整理手続に関わっていますが、チェックポイントが分かっていることで、スムーズに進めることができます。
最近は、アパレル業、製造業、旅館業などを担当しました。再建できれば雇用も維持できますし、その地域の活性化にもつながります。事業再生のアドバイザリーは、大変意義のある仕事だと思っています。
原田 さまざまな専門家が一丸となってクライアントの再生を目指すのは、やりがいがありますよね。吉田先生や太田さんをはじめ、再生計画をチェックする側を経験した弁護士がいることは非常に心強いです。
北浜法律事務所が50年の歴史で培った、戦略的ソリューションで企業価値を守り抜く。
藤原 原田さん、九州エリアではいかがですか?
原田 私の拠点である福岡・九州は、倒産や事業再生の相談もかなり多いと感じています。最近では、都市部の医療法人が看護師不足などで経営難に陥るようなケースが増えています。また、業界にかかわらず、都市部では人員不足、これに伴う人件費高騰や後継者不足に悩む企業が多く、事業再生の引き金となっているイメージですね。
そうした中で、私たちの強みとなるのが、大阪・東京・福岡の「三拠点の連携」です。福岡に居ながら、東京や大阪の最新のノウハウを持つ弁護士と協業できる。また、逆に人材不足など、地方に多い課題を吸い上げ、東京・大阪にも共有し情報交換することができます。
藤原 他にも、本社が東京や大阪にあり、九州に支店があるような大規模案件では、各拠点の弁護士とリアルタイムで連携し、現地の資産調査や交渉をスピーディーに行うことも可能ですよね。
吉田 担当となる弁護士がすぐに会いにいけることは、安心感につながります。これも、3拠点をベースに幅広いエリアをカバーできるからこそのメリットだと思います。
太田 これは特に大阪を中心とした文化かもしれませんが、経営者の方と携帯電話で直接やり取りしたり、「今から行きます!」と駆けつけるようなフットワークの軽さを大切にしています。
原田 福岡でも、再生が成功した後、経営者の方々と「あの時はしんどかったですね」と笑いながら同窓会のように集まることもあります。それだけ深く、苦楽を共にするのが北浜のスタイルですね。
吉田 北浜法律事務所には、私たちのように、倒産・事業再生を数多くこなしてきた弁護士のほか、M&Aや労働法、ファイナンスを専門にする弁護士も揃っています。これらの弁護士が、各拠点をお互いにサポートする形で、戦略的にソリューションを提供できるのも強みですね。
「かかりつけ医」のような
弁護士でありたい
吉田 倒産・事業再生に関して、弁護士は「最後の手術」が必要な時に呼ぶようなイメージがありますが、本当は「ちょっとおかしいな」という段階で相談できる「かかりつけ医」のような存在でありたいと思っています。自分で「もうダメかもしれない」と認識した時には、すでに遅く、選択肢が限られる場合がほとんどです。少しでも不安を感じたら、まずは気軽に相談をしてほしいですね。
太田 なかなか自分では、経営のピンチに気づくことはできません。「山」を下りきる前に相談していただくことが、再生成功の鍵となります。今は「経営者保証ガイドライン」という制度があり、早期に決断すれば、社長個人の自宅を残せたり、破産という形を避けられたりする道もあります。
原田 2025年6月に成立した新法(円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律)により、2027年1月までに「多数決による私的整理の枠組み」が施行される予定です。これまでは、金融機関が1行でも反対すれば私的整理は成立しませんでした。しかし、新制度では、第三者機関の関与の下で、債権者の議決権総額の3/4以上の同意等があれば、裁判所の認可を経て権利変更の効力が生じ、債務の免除等を受けることができます。これにより、私的整理のスピード感と柔軟性が向上し、より多くの企業がこの手法を利用しやすくなるはずです。
藤原 「再生の土壌」があり、「事業の背骨」を診断できる事業再生弁護士が、東京40名、大阪60名、福岡10名を超える各種専門家弁護士のサポートを受けて、幅広いエリアで素早く対応できるという体制は、他事務所にはない大きな特徴です。企業の皆様が大事にしてきたものを次のステージへ繋げるパートナーとして、クライアントの皆様に寄り添い続けていきます。
2026.03.20