企業のSNSリスクマネジメント③(第3回)
概要
現代において、企業(会社だけでなく、団体や個人事業主なども広く含みます。)によるSNSの活用は、広報、知名度・イメージ向上、採用活動など、多様な面で極めて重要なツールであると認識されるに至っています。
その一方で、SNSは常に、炎上や秘密情報の漏えいなどのリスクと隣り合わせであり、場合によっては、長年にわたって積み上げてきた信頼が一瞬にして損なわれてしまったり、顧客離れや株価下落を招いてしまったりすることもあります。
そこで、本コラムでは、企業活動とSNSに潜むリスクと対策を、Twitter(現X)日間トレンドワード5位にまで至った事案を数日で鎮静化させた経験のある弁護士が具体例を交えつつ解説します(全3回)。
本コラムは第3回となります。ぜひ第1回からご覧ください。
目次
November 15th, 2025
告発的な投稿等がなされたケース
このケースは、投稿自体は適切か、あるいは正当な目的を有することが多いことが上記までとは異なりますが、それだけに炎上リスクも高いです。
ケース
かに、従業員による秘密情報の漏えいや企業に対する名誉毀損の側面も否定できないケースもありますが、それ以上に、受け手には、従業員がハラスメント被害などを受けているという事実が重く受け取られる可能性が高いです。そのうえ、従業員が告発にあたりSNSへの投稿という手段を取ったことが、企業の風通しの悪さや内部通報制度に不備があると伝わってしまうおそれもあり、採用活動への悪影響も懸念されます。
典型例では、従業員や商品、サービスへの不満の投稿が考えられます。些細なものであれば炎上リスクはそこまで高いものではありませんが、従業員の横暴な行為や商品等の安全性にかかる重大な問題(食品への異物混入なども含みます。)が、特に画像や映像とともに投稿された場合には、大きな炎上を招くおそれがあります。
投稿例
(いずれも実際にあった事案をもとにして作成した架空の投稿です。)
・「●●株式企業において、いきなり地方に転勤を命じられました。」1)の例 |
事前の対策・事後の対応
これらのケースでは、前提として、企業側に落ち度があり、投稿者は正当な目的との意識で投稿していることが一般的です。企業側としては、こういった事案の発生を未然に防ぐことがまず重要ですが、ひとたび発生してしまった場合には、すみやかな対応が重要となります。
しかし、これらのケースにおいては、投稿自体がフェイクであるリスクも高いのが特徴です。生成AIの発展などもあり、フェイクかどうかの判断が容易ではないことも十分想定されます。そういったケースでは、多少スピード感を犠牲にしても消費者の理解を得やすいはずですから、適時の進捗報告を交えつつ丁寧な検証を行いましょう。
具体的な対策・対応としては、例えば次のようなものが考えられます。
事前の対策 |
事後の対応 |
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<【共通】事実確認前>
<【A】事実であることの確認後>
<【B】フェイクであることの判明後>
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事前の対策 | |||||
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事後の対応 | |||||
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<【共通】事実確認前>
<【A】事実であることの確認後>
<【B】フェイクであることの判明後>
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※
:必要な対応
:望ましい対応
※ あくまで一例であり、あらゆる事案において適切な対応というものではありません。
避けるべき対応 |
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おわりに
現代社会においてSNSはもはや不可欠な存在となっており、企業によるSNSの活用も、企業活動において極めて重要な地位を占めるに至っています。
しかしながら、本コラムで取り上げたように、SNSの利用には無視することのできない様々なリスクがあります。そして、その対処法もまた多岐にわたりますし、大きな炎上となると交渉や裁判に発展することも珍しくありません。そのうえ、第三者の行為に起因する炎上のように万全な企業努力をもってしても防ぎきれないケースもあります。
本コラムでご紹介した事例や対応はごく一例です。SNSのリスクマネジメントの場面では、法律と法律以外の双方の観点を有する専門家による、平時の備えから万一の有事対応まで一気通貫のサポートを受けられる体制を構築しておくことが極めて重要です。
まずはお気軽にご相談ください。
本記事の内容は、公開日現在のものです。最新の内容とは異なる場合がありますので、ご了承ください。
事実確認前に事実であることを前提とした謝罪

