Newsletters ニューズレター
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2018.04.28 / 国際紛争解決ニューズレター
Construction Industry Payment and Adjudication Act 2012(CIPAA)のご紹介
2014年4月15日、マレーシアにおいて、Construction Industry Payment and Adjudication Act 2012(CIPAA) が施行されました。 同法は、建設業者が、規則的かつ適時に建設代金の支払いを受けることを可能とするための裁定手続等を定めており、 マレーシアにおいて発注者あるいは受注者として活動される多くの企業の皆様に重要な影響を与えるものです。 そこで、本ニューズレターにおいては、CIPAAの概要をご紹介します。
児玉 実史 弁護士 / 松下 外
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2015.07.30 / 国際紛争解決ニューズレター
最高人民法院が中国仲裁機関の分裂に起因する管轄問題に関して司法解釈を発表
2015年7月15日、中国最高人民法院は、「上海市高級人民法院等が中国国際経済貿易仲裁委員会及びその元分会等の仲裁機関による仲裁判断の司法審査事件について照会を求めた問題に関する最高人民法院の回答」(以下「本司法解釈」といいます。)を発表しました。
中国では、仲裁機関の中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)で内紛が発生し、上海国際経済貿易仲裁委員会/上海国際仲裁センター(SHIAC)及び華南国際経済貿易仲裁委員会/深圳国際仲裁院(SCIA)が独立して以来、実務上、独立前にした仲裁合意に基づきいずれの仲裁機関に仲裁を申し立てるべきかについて混乱が生じており、仲裁が受理され、仲裁判断を得たとしても、仲裁合意と異なる仲裁機関が案件を扱ったとして、仲裁判断が取り消されたりその執行が拒絶されたりするリスクがあるともされていました。
本司法解釈は、この混乱に終止符を打つものであり、実務的に非常に重要なものです。そこで、本ニューズレターにおいては、本司法解釈の内容についてご説明いたします。
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2014.12.15 / 国際紛争解決ニューズレター
中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)新仲裁規則のご紹介
2014年11月18日、中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)は、2015年1月1日より発効する新仲裁規則を公表しました。
現状、中国においては、日本の裁判所による判決は強制執行が認められておらず、また、同様に日本においても中国の裁判所による判決の強制執行は認められていません。そのため、日本企業と中国企業との取引より生じる紛争については、国際仲裁により解決をする旨合意することが一般的ですが、中国国内における資産に対する保全手続(仮差押、仮処分)が必要となる場合等には、CIETACを仲裁機関として選択することも少なくありません。したがって、中国企業との契約交渉を行う上で、CIETAC仲裁規則に関する最新の情報をアップデートしておくことは、実務上、重要な意味を有するものと考えられます。
そこで、本ニューズレターにおいては、2015年CIETAC新仲裁規則のうち実務上重要と思われる変更点についてご説明します。
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2014.12.01 / 国際紛争解決ニューズレター
シンガポール国際仲裁に関する重要裁判例のご紹介(3) 多段階的紛争解決条項のドラフティングについて
2014年11月5日、シンガポールにおいて、シンガポール国際調停センター(SIMC)が本格的にその運用を開始しました。シンガポールにおける国際仲裁実務上、仲裁手続に先立ち、話合いや調停を前置する多段階的紛争解決条項(Multi-Tiered Dispute Resolution Clause)が利用されることがありますが、SIMCの運用開始により、かかる条項の利用の検討を行う場面が増えるものと思われます。
そこで、本稿においては、シンガポールの国際仲裁における多段階紛争解決条項のドラフト及びこれに基づく仲裁前の手続の実施に関する実務上の留意点について、International Research Corp PLC v Lufthansa Systems Asia Pacific Pte Ltd and another [2014] 1 SLR 130を題材にご説明します。
児玉 実史 弁護士 / 松下 外
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2014.11.06 / 国際紛争解決ニューズレター
シンガポール国際調停センター(SIMC)及びシンガポール国際商事裁判所(SICC)にかかる最新動向
現在、シンガポールにおいては、シンガポール国際仲裁センター(Singapore International Arbitration Centre。略称「SIAC」)を補完する機関として、シンガポール国際調停センター(Singapore International Mediation Centre。略称「SIMC」)及び国際商事裁判所(Singapore International Commercial Court。略称「SICC」)を設立する試みが進められています。
SIMCは、シンガポールにおいて、国際調停事件を取り扱う専門機関です。SIMCは、SIACと密接に連携をすることにより、調停手続と仲裁手続を混在させたArb-Med-Arb Protocolと称する独自の手続を推奨しており、2014年11月5日に本格的に運用を開始しました。 他方、SICCは、シンガポールにおいて、国際的な商事紛争を取り扱う国際裁判所です。SICCには、控訴あるいは、第三者の強制的な手続参加等、国際仲裁には見られない特徴があり、アジアの法曹実務家からは大きな注目を集めています。SICCは現在、2015年前半の始動が予定されていますが、2014年11月4日、その設立のための改正法案が、シンガポール議会の第二読会(Second Reading)を通過しました。
本ニューズレターにおいては、SIMC及びSICCにかかる最新情報をご提供します。
児玉 実史 弁護士 / 松下 外
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2014.09.18 / 国際紛争解決ニューズレター
インド仲裁調停法改正に関する最新動向のご紹介
2014年8月6 日、インド政府の委託を受け、インド法委員会は、インド仲裁調停法(Arbitration and Conciliation Act, 1996。以下「現仲裁法」といいます。)の改正に関するレポート(Amendments to the Arbitration and Conciliation Act 1996)を公表しました。同レポートは、インド国内及びインド国外を仲裁地とする仲裁に関する規律について、運用の現状について説明を加えた上で、その利用の促進等のために、法改正を提案するもので、①改正の背景、②委員会の検討内容、そして、③検討を踏まえた改正案の提案の三部により構成されています。
本稿においては、同レポートのうち、実務上特に重要であると思われるインド国外を仲裁地とする仲裁に関する改正案について、その背景にある最高裁判所判決の変遷と併せてご紹介します。
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2014.08.29 / 国際紛争解決ニューズレター
シンガポール国際仲裁に関する重要裁判例のご紹介(2)仲裁合意の準拠法の決定基準及びそれを踏まえた仲裁合意条項のドラフティング
ボイラープレート条項として、契約書末尾に設けられることが多い仲裁合意条項ですが、現実に紛争が発生した際には、当該条項が紛争解決に関する当事者の合意の解釈のよりどころになります。
そのため、そのドラフトに際しては、その構成要素を十分に理解した上で、事案に即した適切な表現を用いることが重要です。
そこで、本稿においては、仲裁合意条項の作成の前提として理解しておくことが有益と思われる法的概念についてご説明した上で、2014年6月に下された最新の裁判例であるFirstLink Investments Corp Ltd v GT Payment Pte Ltd and others. [2014]SGHCR12をご紹介します。同判決は、仲裁合意の準拠法の決定に際して、仲裁手続の準拠法が重要である旨判示するものですが、シンガポールではこれまでかかる基準について言及した裁判例はなく、実務上重要な意義を有します。また、同判決を踏まえた仲裁合意条項のドラフティングに関する実務上の考慮事項についてご説明します。
児玉 実史 弁護士 / 松下 外
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2014.05.30 / 国際紛争解決ニューズレター
シンガポール国際仲裁に関する重要裁判例のご紹介(1) First media TBK v Astro Nusantara International BV and Ors [2013] SGCA 57
本ニューズレターにおいては、シンガポールの国際仲裁実務における近時の重要判例であるPT First media TBK v Astro Nusantara International BV and Ors [2013] SGCA 57をご紹介します。本判決は、シンガポールにおいて、仲裁判断の取消を求める積極的救済(active remedy)と、執行段階において拒否事由を主張する消極的救済(passive remedy)の選択が認められることを明らかとするものであり、同地における今後の仲裁戦略に大きな影響を与えるものと思われます。
児玉 実史 弁護士 / 松下 外