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Cross-Border Talks

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多拠点化と総合化に努めた “20年間”、最適で良質なリーガルサービスを広いエリアで実現。

北浜法律事務所には、大阪・東京・福岡の3拠点がある。 拠点が3つあることの利点、だからこその強みとは何か。設立時の歴史、各拠点が目指す将来像などから未来を探る。

3拠点設立の経緯

渡辺 1973年、大阪の地で3名の弁護士が前身となる小さな事務所をスタートしたことからはじまった北浜法律事務所は、2023年で創立50周年を迎えました。これまでの歩みの中で、拠点を3か所に持ち、取扱分野も増え、現在所属弁護士は100名を超えています。東京事務所の設立は、2002年でしたね。

荒川 はい。2002年に弁護士法が改正され、弁護士事務所が法人化すれば支店事務所の開設が可能になったことで、一気に話が進みました。それより以前から各企業の本社が東京に集中し、法務需要もまた東京に集中するという動きも同時に起こっていたので、そうした中で北浜法律事務所も進出。当時3年目のアソシエイト弁護士だった私が、東京という未知のマーケットに一人で飛び込んだわけです。

渡辺 1年目・2年目では経験不足だし、とはいえパートナー弁護士を送るとなると、既に大阪で十分お客様を持っていて動き難いこともあり、荒川さんに行ってもらうことになりました。

荒川 バブル崩壊後、2000年4月に民事再生法が施行されたこともあり、大規模な再生型の倒産案件が増え、併せて、産業再生機構からの事業再生案件を獲得できたことが開設直後の成長のきっかけになりました。

渡辺 当時東京の大手事務所は、倒産案件には基本的には手を出さない状況で、大手にはノウハウがなかったけれども、我々は大阪でずっと倒産や事業再生を専門にやっていたから、東京事務所設立後に倒産・事業再生案件が一気に増えました。

荒川 激しい時代でした。でも、そういうタイミングだったからこそ成長できたのだと思います。あれから20年が経ち、東京事務所所属の弁護士は、今40名ほど。この規模になるのに20年ですが、良いスピード感で成長していると感じます。

渡辺 敷地さんが福岡事務所の開設に関わったのは、8年目でしたか。東京の場合とは違って、大阪でかなり実力をつけていた敷地さんが福岡に行ったという感じでしたね。

敷地 私が福岡出身で、父が福岡で弁護士をしていたので、そこに帰るか、事務所に残るかという選択肢がありましたが、2006年に福岡事務所を開設し、立上げから関わることになりました。事務所としては福岡進出ですが、個人的には地元に戻るという感覚でした。

渡辺 福岡県弁護士会からも、大きな驚きを持って迎えられたと聞きました。

敷地 当時、福岡県外から支店を出す法律事務所はありませんでしたから、「黒船が来た!」みたいな感じで(笑)。ただ、福岡には企業法務を取り扱う大きな事務所が少なかったので、北浜の強みが活かせると感じました。まずは大阪・東京事務所のクライアントの福岡支店や地元の金融機関、商工会議所などに積極的に足を運び、地道にネットワークを構築していきました。また、大阪事務所の故中島弁護士が、福岡の会社の更生管財人に選任された案件で、複数拠点の利点を活かし、大阪・福岡事務所の弁護士が更生管財人代理となって活動しました。これが、拠点連携のメリットを最初に示せた案件でした。

対談の様子

渡辺 実は同時期に大阪事務所でも大きな変革がありました。私が北浜法律事務所に入ったのは、開設20年目の1993年。この時期から十数年間、我々の仕事は、まだ倒産・事業再生の一本足打法でした。2001年に小泉政権が発足し、どんどん景気も回復してさまざまな法務ニーズが増えてきたこともあり、事務所をあげて倒産・事業再生ばかりやるのはリスクが大きい、もっといろいろな分野へ進出しなければと、若手パートナー弁護士を集めて、2004年、ビジョン検討会を開きました。そこで、今後のあり方として「弁護士それぞれが、事業再生以外の専門分野を1個持とう」という目標を掲げ、取り組んだ。これが、今の総合法律事務所になる礎を作った、北浜法律事務所にとっての大きなエポックメイキングであったと私は思っています。

北浜ならではの、
3拠点連携のカタチ

荒川 北浜法律事務所が多拠点化し、成長している背景には先の総合化の動きと北浜ならではの組織風土があると思うんです。地域的には分かれてはいますが、実は確かな一体感のもとに成り立っている。

対談の様子

敷地 私も荒川さんも、もとは大阪事務所にいましたからね、そこで培かわれた文化とか伝統を知っていて、それらを受け継いでそれぞれ拠点運営をしていますから。そういう意味では確かに一体感を持ち合わせていると思います。   


渡辺 それは大きいよね。私は「北浜イズム」と呼んでいるのだけれど、風通しの良さはうちの組織風土の大切な要素だと思っています。弁護士の世界は、合格期で先輩後輩関係が決まるという意識が強いのが通常だけれど、うちの事務所は私が入った32年前からそういう意識がすごく弱い。創業者の佐伯弁護士は20期で、私とは25期も違うけれど、上から目線でものを言ったり、威張ったりとかいうのはまったく無かった。垣根の低い、風通しの良い事務所を創業者が作ってくれていて、私はそういう自由な雰囲気やカラーが大好きで、今も大切にしていますが、おそらくお二人もその雰囲気のままやってくれていると思うんです。

荒川 距離は離れていても、垣根なく、それぞれの専門性を相互に補完し合える強みは大きいです。人的なリソースという意味でも、どこの拠点で依頼されても、仕事に応じていろいろな弁護士とさっとタッグを組み、最適なチームをスピーディーに組成できる。それがうちならではの3拠点の連携のカタチだと思いますね。

敷地 一方で、物理的なクライアントとの近さもやはり大きいです。面談もしやすいですし、何よりクライアントも安心されます。

敷地 福岡事務所はまだまだ少人数ですが、知的財産権や渉外案件など専門性が求められるものについても、大阪や東京の弁護士と連携できるので、自信を持って最善のソリューションを提案できる。逆に、大阪・東京から福岡を頼りにしていただく場面も少しずつ増えてきています。

荒川 クライアントと近いということは本当に大きなメリットだと思います。それぞれローカルに根差したコミュニケーションやニーズへの細やかな対応もできる、そういう特色を持っている総合法律事務所はあまりない。

渡辺 それにおいても、3拠点のメリットを発揮できるのは、一体感のある北浜らしい連携力がポイントになっているのだと思う。単純にマンパワー面でも、今私が専門の一つにしている企業不祥事対応では、規模によっては何十人も弁護士が必要です。昨年の案件でも、大阪だけでは無理なので、東京・福岡の若手弁護士に大量に担当していただきました。

敷地 東京・大阪・福岡の拠点間の距離って絶妙なんですよ。それぞれ500kmずつ程離れ、各拠点を中心に同心円を描くと、依頼があれば拠点の弁護士が動ける範囲になっていて、関東以西はほぼ日本中を網羅できる。拠点の場所もちょうど良かったと思います。

対談の様子

3拠点において
大切にしていきたいこと

荒川 北浜法律事務所はもともと大阪発祥ですし、今でも大阪事務所が規模も一番大きいのですが、今後は東京事務所が先頭に立って北浜法律事務所を発展させていく、そういうエンジンになりたいと思っています。専門性においても、新分野にどんどん挑戦することが必須だと考えています。これからも幅広い法務需要に対応する総合事務所として発展するためには、新分野に挑戦する人の後押しにも力を入れていきたい。

渡辺 歴史を振り返ると、20年間で東京事務所は1人から40人以上に増えています。これに対し、大阪事務所は、徐々に大きくなっているものの、ほぼ2倍。「大阪ももっと頑張らないと」ということなんだけれど(笑)。でも、地域の違いも大きく、東京は経済規模も案件の規模も桁が違います。また、最先端分野はいつも東京からはじまるんですよ。今後の大阪事務所は、東京事務所と融合しながら、大阪のナンバーワンを目指すことが望ましいと思っています。

敷地 福岡は、中小企業から中堅、大企業まで、様々な需要があるので、将来的に、会社の規模・業種を問わず、あらゆる法務需要に対応できる事務所に成長したいと思っています。また、福岡はアジアの玄関口なので、東アジア、東南アジアの法的需要はすべて取り込むくらいの意気込みで将来を見据えたい。現在は、外国法事務弁護士が1名だけですので、今後の課題ではありますが、さらに渉外分野に特化した弁護士を育てたいと考えています。

渡辺 福岡事務所はすでに福岡の中で人数的には5位以内というポジションが視野に入っているわけです。今のまま成長していけば、そのうちナンバー3に入っていくことも可能かと。そのためにも、うちがきちんとプレゼンスを持って福岡事務所内には高度な専門性を持った人材、リソースがあると示していくことが大事ですよね。

敷地 今も留学しようとしている弁護士もいますし、東京の大手証券会社に出向している人もいる。福岡にある他の事務所で、そんなことができている事務所はないと思っています。

渡辺 それはうちが3拠点でやっている強みですよね。東京事務所・大阪事務所では海外留学や大手企業や官庁への出向が当たり前に行われていて、それは福岡事務所でも同じ。これを積み重ねていけば、福岡事務所も一気に大きく成長できる。

荒川 大阪も東京も福岡も、クライアントにとって、いざというときに頼りになり役に立つ法律事務所として、ともに成長しているんです。「クライアントとともに。」というスローガンは、まさにそういう意味でもあると思っています。

渡辺 それぞれの弁護士が、違う能力、違う個性を持って、そのときどきのクライアントの依頼の趣旨、法務需要に従って最強のチームを組成する。そして我々を頼りにしてくれているクライアントに、100%の力で応え、ソリューションを提示する。3拠点制は、うちの風通しの良さに支えられた風土があるからこそ、実現できている制度だと思います。

渡辺 今後も、社会の変化に応じて弁護士事務所も変化していかねばなりません。必要なときは会いにいける安心感という物理的なメリットと、人的・質的リソースの臨機応変な融合力という北浜ならではの良さを活かしながら、今後も各拠点・地域それぞれの発展に寄与したいと思っています。





2025.04.01

渡辺徹

パートナー / 弁護士
北浜法律事務所代表
大阪事務所

会社法関連分野のパートナー弁護士として、各種M&A、スクイーズアウト、株主総会対策、アクティビスト対応、会社訴訟、商事非訟など多方面から攻めと守りの企業サポートを行っている。京都大学法科大学院非常勤講師(会社法実務演習)を14年間務めた。また、公認不正検査士の資格をもとに、第三者委員会・特別調査委員会の委員長・委員として多くの企業不祥事調査に携わっている。

荒川雄二郎

パートナー / 弁護士
東京事務所代表社員
東京事務所

2000年大阪弁護士北浜法律事務所の東京事務所設立に際して第一東京弁護士会に登録換えし、以後、東京事務所にて勤務。2009年バートナー弁護士就任、2016年東京事務所代表社員就任。上場企業、中堅・中小企業のクライアントの、国内外の争訟の代理人、M&Aや合弁等の企業開取引のアドバイザリーを多く務める 。

敷地健康

パートナー / 弁護士
福岡事務所代表社員
福岡事務所

福岡市出身。九州・沖縄地区を中心に、会社法、M&A、コンプライアンス指導` IPO 支援を中心とした企業法務を取り扱い、訴訟・交渉案件にも対応する。金融機関のほか、製造業、小売業、不動産業、情報通信業、運送業、ホテル・飲食業など幅広い業種で実績を有する。上場会社、IPO準備会社の社外役員のほか、地方自治体の外部有識者委員を務める。