ボイラープレート条項として、契約書末尾に設けられることが多い仲裁合意条項ですが、現実に紛争が発生した際には、当該条項が紛争解決に関する当事者の合意の解釈のよりどころになります。
そのため、そのドラフトに際しては、その構成要素を十分に理解した上で、事案に即した適切な表現を用いることが重要です。
そこで、本稿においては、仲裁合意条項の作成の前提として理解しておくことが有益と思われる法的概念についてご説明した上で、2014年6月に下された最新の裁判例であるFirstLink Investments Corp Ltd v GT Payment Pte Ltd and others. [2014]SGHCR12をご紹介します。同判決は、仲裁合意の準拠法の決定に際して、仲裁手続の準拠法が重要である旨判示するものですが、シンガポールではこれまでかかる基準について言及した裁判例はなく、実務上重要な意義を有します。また、同判決を踏まえた仲裁合意条項のドラフティングに関する実務上の考慮事項についてご説明します。