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新しい紛争解決手段。
国際商事仲裁のパイオニアとして。

記憶に残る案件というのは、僕がニューヨークのウィンスロップ・スティムソン・パットナム・アンド・ロバーツ法律事務所から帰ってきてすぐに手がけた会社更生です。とても大きな第三セクターのリゾート会社で、亡くなった中島弁護士と二人で担当しました。会社更生しかないと当初から考えていたのですが、何しろ第三セクターですからオーナーだけでなく、自治体、県や市からもご理解を得られる形で進めないといけない。スキームを考え、関係者と話をし、懸念を一つひとつ潰していきました。

ようやく最後の最後に決断が下され、債権者説明会を行いました。荒れ狂う覚悟をしていたのですが、集まった3000人が静まり返って話を聞いてくださいました。多くの債権者が「会社が生き残るのは本当にありがたい」「ありがとう」と言ってくださって。感動しましたね。非常に嬉しかった。飛行機の操縦はしたことはないですけども、パイロットが難しい着陸をバチっと決めた時ってこういう気持ちじゃないかなと思いました。

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僕は仕事をする中で、
相反する二つのことを大事にしています。

それは柔軟であることと、一本筋が通っているということ。会社更生もM&Aも、あるいは訴訟・仲裁をやっていても、状況は刻一刻と変わってくるので、柔軟性がないと局面でベストな判断ができません。しかし一方で、場当たり的に対応していくと最初に思っていたのと違うところへ着地してしまうかもしれない。「この線は外してはいけない」っていうことを最初によく考えて、その線を外さず変化には対応し、最後にはそこに向かっていけるようにするのがすごく大事だなって思っていますね。

ここ数年、国際案件の仲裁に注力しています。これは裁判所でなく仲裁機関で紛争を解決する手段です。日本ではまだあまり知られておらず扱える専門家も少ないのですが、各国で飛躍的に増加しています。訴訟と比べて、国際的に強制執行が容易であること、上訴がないことによる手続の迅速性、非公開といった面に特徴があります。公開法廷に行かなくていいので全部秘密に終わり、企業の信用を守ることができるというメリットは大きいです。

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ニューヨークの仲裁事件は、時差対応でしょっちゅう夜中に国際電話で打ち合わせ。シンガポールの仲裁事件も始まりました。これは現地の弁護士と進めています。また、話し合いで紛争を解決する調停も日本でもっと広めたいと思っています。

訴訟では争点を「これだ!」と絞り込むのですが、調停の場合は絞り込まずに拡散させるという全く逆のアプローチ。目の前の紛争だけ見るのでなく、当事者間で過去、現在、将来にわたって解決すべき課題を洗い出します。いわばパイを広げてその広いパイの中で、この先何で手を組めるのか、何とかウィンウィンで解決できないか、を考えます。とてもダイナミックな思考です。これが国際商事調停の醍醐味であり、斬新なチャレンジなのです。

クライアントとともに。