JCAジャーナル 第62巻第8号 (通巻698号)
Newsletters ニューズレター
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2015.07.30 / 国際紛争解決ニューズレター
最高人民法院が中国仲裁機関の分裂に起因する管轄問題に関して司法解釈を発表
2015年7月15日、中国最高人民法院は、「上海市高級人民法院等が中国国際経済貿易仲裁委員会及びその元分会等の仲裁機関による仲裁判断の司法審査事件について照会を求めた問題に関する最高人民法院の回答」(以下「本司法解釈」といいます。)を発表しました。
中国では、仲裁機関の中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)で内紛が発生し、上海国際経済貿易仲裁委員会/上海国際仲裁センター(SHIAC)及び華南国際経済貿易仲裁委員会/深圳国際仲裁院(SCIA)が独立して以来、実務上、独立前にした仲裁合意に基づきいずれの仲裁機関に仲裁を申し立てるべきかについて混乱が生じており、仲裁が受理され、仲裁判断を得たとしても、仲裁合意と異なる仲裁機関が案件を扱ったとして、仲裁判断が取り消されたりその執行が拒絶されたりするリスクがあるともされていました。
本司法解釈は、この混乱に終止符を打つものであり、実務的に非常に重要なものです。そこで、本ニューズレターにおいては、本司法解釈の内容についてご説明いたします。
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2015.06.16 / 海外法務ニューズレター(タイ)
「タイの投資(上)外資規制」
タイは、比較的多い人口、高い高等教育普及率、中国・インド・インドネシア等の大市場との近さ等、進出先として好条件がそろっており、しかも、タイ投資委員会(BOI)、工業団地公社(IEAT)等による充実した投資奨励制度より、日本からの投資先として高い人気を誇っております。
もっとも、タイは、従前より日本人を含む外国人に対し比較的厳しい外資規制をかけており、この外資規制に関しても最近改正の動きがあるようです。
そこで、2号続けて「タイの投資特集」として、本号では、タイの外資規制並びに改正議論の状況について、次号で、新投資奨励制度について、解説していきたいと思います。
タイで、非製造業での進出を考えておられる方は、外資規制が大きな問題になってきますので、ご一読いただけましたら幸いです。コーポレート・会社法 / M&A / 国際関係法務
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2015.01.07 / 海外法務ニューズレター(タイ)
「タイの労働者保護法について」
タイは、周辺諸国と比較して進学率が高く、インフラが充実していること、中国、インドネシア等の大市場と近いことなどの理由から海外進出先として高い人気を誇っています。その一方で、若年労働者の不足や低い失業率、最低賃金の急激な上昇から、労働紛争が頻発しており、労働法がタイでも重要視されてきております。
そこで、本稿では、タイで事業をするにあたり知っておくべき労働関係法令のうち、労働者保護法を日本法との比較を交えながら説明していきます。坂元 靖昌 弁護士
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2014.12.15 / 国際紛争解決ニューズレター
中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)新仲裁規則のご紹介
2014年11月18日、中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)は、2015年1月1日より発効する新仲裁規則を公表しました。
現状、中国においては、日本の裁判所による判決は強制執行が認められておらず、また、同様に日本においても中国の裁判所による判決の強制執行は認められていません。そのため、日本企業と中国企業との取引より生じる紛争については、国際仲裁により解決をする旨合意することが一般的ですが、中国国内における資産に対する保全手続(仮差押、仮処分)が必要となる場合等には、CIETACを仲裁機関として選択することも少なくありません。したがって、中国企業との契約交渉を行う上で、CIETAC仲裁規則に関する最新の情報をアップデートしておくことは、実務上、重要な意味を有するものと考えられます。
そこで、本ニューズレターにおいては、2015年CIETAC新仲裁規則のうち実務上重要と思われる変更点についてご説明します。
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2014.12.01 / 国際紛争解決ニューズレター
シンガポール国際仲裁に関する重要裁判例のご紹介(3) 多段階的紛争解決条項のドラフティングについて
2014年11月5日、シンガポールにおいて、シンガポール国際調停センター(SIMC)が本格的にその運用を開始しました。シンガポールにおける国際仲裁実務上、仲裁手続に先立ち、話合いや調停を前置する多段階的紛争解決条項(Multi-Tiered Dispute Resolution Clause)が利用されることがありますが、SIMCの運用開始により、かかる条項の利用の検討を行う場面が増えるものと思われます。
そこで、本稿においては、シンガポールの国際仲裁における多段階紛争解決条項のドラフト及びこれに基づく仲裁前の手続の実施に関する実務上の留意点について、International Research Corp PLC v Lufthansa Systems Asia Pacific Pte Ltd and another [2014] 1 SLR 130を題材にご説明します。
児玉 実史 弁護士 / 松下 外